農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第24回:ミョウガ(ショウガ科ショウガ属)

土壌医●藤巻久志

 「ミョウガを食べ過ぎると物忘れをする」といわれますが、科学的な根拠はなく、そのような成分は含まれていません。東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅や東西線の早稲田駅の周辺は、かつてはミョウガの産地でした。両駅は優秀な教育機関の最寄り駅となり、これもミョウガと物忘れとは結び付きません。

 ミョウガは半日陰を好みます。ベランダのプランターでも栽培できます。薬味がキッチンの近くにあると重宝します。

 ミョウガには花蕾(からい)を7〜8月に収穫する夏ミョウガと、9月に収穫する秋ミョウガがあります。ミョウガは種茎を植えて育てます。種茎は春先にホームセンターなどに並びますが、通信販売や栽培している知人から分けてもらっても良いでしょう。

 植え付けは種茎の芽が動きだす前の1〜3月が適期です。深さ20cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、深さ5cmほどの溝を作ります。種茎を横にして20cm間隔に植え付け、軽く覆土します。乾燥を嫌うので敷きわらをし、土の表面が乾かないように十分水やりします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。

 花蕾が地上に半分くらい出てきたところを収穫します。取り遅れると花が咲いて品質が落ちます。

 株が充実してくる2年目以降は、春先に芽が出る前に黒ビニールやバケツをかぶせて遮光し、ミョウガタケを作ることもできます。

 毎年収穫できますが、4〜5年たつと根茎が込み合って、花蕾の出が悪くなります。活力を取り戻すために、6月上旬に15cm間隔に間引きします。思い切って冬の間に植え替えるのも良いです。

 ミョウガは日本特有の香味野菜で、香り成分には食欲増進の効果があります。食欲が減退する夏場でも、ミョウガを薬味にしたそうめんならスルスル食べられます。血行促進の効果もあり、血の巡りが良くなれば物忘れなどしません。

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藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。