農と食のこと

冬野菜の害虫にご注意を!

 ハクサイ、ホウレンソウ、ダイコンなど、冬野菜の多くに害をなす虫がいます。
 その名も「ハクサイダニ」。正しい知識と対処法を確認して、冬野菜を守りましょう!

(1)ハクサイダニって?

 ダニの中ではかなり大きく、米粒くらいの大きさ。肉眼でもはっきりと見えます。黒い胴体と赤い足が8本。まるで、クモのようです。
 衝撃的なのが、1月、2月の霜が降りる厳寒の中、ウロチョロ活発に動き回ること!!!真冬ですから、天敵もいないのでどんどん増えてしまう厄介者なのです。


出典:東京都病害虫防除所

(2)被害の様子

 ハクサイダニという名前からも分かる通り、ハクサイに被害を及ぼしますが、町田市ではホウレンソウの被害の方が多く、被害部分は葉が灰色から銀白色になり、シワシワになってカールしてきます。
 芯葉付近に加害が多く、中の葉脈から養分を吸い取るので、最悪の場合、枯れてしまいます。

(3)探してみよう!

 12月に入ったら、野菜をよく観察してください。葉の色が変わってきたとか、葉がピンとしていなかったらもしかして…。
 よく見れば発見できます。だって色が黒と赤!それに、動き回っているから分かりやすい。でも、晴れている昼間は見つけにくいかも。曇りの日か、朝か夕方。葉っぱをいじっていると、土に移動して逃げていくので、土の上もしっかり観察してくださいね。

(4)間違えないで!

 被害状況が似ている病気があります。例えば「白さび病」。これは菌によるものなので、殺菌剤。ハクサイダニには殺虫剤です。ホウレンソウ等にハクサイダニが確認できたら、農薬を使って退治しましょう。間違えた農薬を使っても効果はありません。「ダニは確認できないけど野菜の様子がおかしい」「何の病気か分からない」――。そんな時は、葉のサンプルを持って窓口にご相談に来てください。正しい診断をすることが大切です。

(5)被害を受けないために

 まずは収穫後の残さ処理(畑に残った野菜の茎葉の片付け)が重要。連作を避けることや夏季のビニール被覆による土壌消毒も効果的です。
 さらに、除草も大切です。ハクサイダニは、圃場周辺の雑草にも生息するので、畑の周りもしっかり除草しておきましょう。被害にあった野菜や雑草は卵が付いている可能性があるので、土に混ぜ込まないようにしましょう。

 鶴川の農家さんで、10年以上前からハクサイダニの被害に悩まされている方にお話を聞きました。

Q.どのような状況でしたか
A.秋に種をまいて育てていたホウレンソウとコマツナ、ダイコンがある日を境にみずみずしさが無くなり、カラッカラのミイラになって、畑から消えて無くなった。原因がハクサイダニだと分かってから、農薬を使い駆除に励んだけれどなかなかうまくいかず。試行錯誤の末、数を減らす事ができた。

Q.どのように駆除すれば良いのでしょうか
A.まず農薬を噴霧する時は、長いノズルを付けてなるべく野菜の近くから噴霧すること。ハクサイダニに直接農薬がかからないと効果がないので、なるべく近くから、葉の付け根に向けて行うと良いですね。

Q.気を付けるポイントを教えてください
A.被害にあった野菜の順番は、まずハクサイ、コマツナ、ダイコンから始まり、ホウレンソウに移り、最終的にはタマネギやネギにも被害が及んでしまいました。雑草では、ハコベラやホトケノザ、ノビルも好むようで、黄色っぽく変色してきたら見つける合図です。

 ハクサイダニは歩き回るため、ハウスの中に侵入してきたり、落ち葉が溜まっている所にいたりするそうです。ダイコンの葉から落ちたハクサイダニがマルチの上をカサカサと音を立てて逃げて行くというお話も聞き、本当に驚きました。

JAで取り扱いのあるハクサイダニの登録農薬をご紹介します

アディオン乳剤 100ml
 ホウレンソウ、シュンギクにて登録があり、3,000倍で作物と土壌に散布。収穫21日前までに2回使用可能です。

コテツフロアブル 100ml
 コマツナにて登録があり、2,000倍で散布。収穫3日前まで使用可能ですが、1回しか使えません。こちらは劇物ですので、お買い求めの際には印鑑と身分証明書をお持ちの上ご来店ください。

きずな.2018年 冬号_No.51掲載