農と食のこと

「生産履歴管理表(記入)」の必要性と
HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理

 消費者の「食の安全・安心」に対する関心は高く、生産者もその声に応えることが求められています。生産者には農作物を作った「生産責任」、JAなどの販売者には「販売責任」があります。今回の営農情報では、生産者が記入する“生産履歴管理表”と販売者の“HACCPの考え方を取り入れた衛生管理”についてお伝えします。

生産履歴がなぜ必要なのか

 農作物がどのような工程で栽培されたのかを見た目で判断することはできません。生産履歴に肥料や農薬の使用などの工程を正しく記録することで、納品先や消費者からの信頼を得ることができます。また、その農作物が「安全・安心」であることを証明します。

生産履歴管理表の内容

 生産者は肥料や農薬使用基準を遵守し、使用した薬品名や数字、日付などが生産履歴管理表に正確に記入されているかをしっかりと確認します。このような栽培工程の記録は、食の安全の証明だけではなく、経営改善や栽培技術改善に役立ちます。

誰が見ても「安全・安心」と分かる内容の記入が求められます

いつ 作業を行った日
だれが 生産者名
どこで 畑などの場所
なにを 作物の名前
どうやって 作業手順や作業基準、使用した資材の名前
どのように 使用した肥料や農薬の名前や数量

無実の証明

 万が一、出荷物に残留農薬などが検出された場合、その責任は生産者に課せられます。生産履歴管理表に生産工程の情報があると、“近隣の畑から飛散した農薬が付着”など、原因の分析や特定に役立てることができます。さらに、「無実の証明」や「問題の早期解決」につながり、生産者や産地を守ることができます。

農薬の適正使用違反が発見された場合

  農薬を使用した生産者だけでなく、直売所にも営業停止命令や回収命令などの厳しい罰則が与えられます。「俺は年だから」や「面倒だから」などの言い訳は通用しません。自分の作った品物に「責任」を付けて「安全・安心」を届けましょう。

HACCP(ハサップ)と制度化の目的

 2021年6月からは、HACCP導入・運用が完全義務化となりました。HACCPとは、食品を扱う過程において、これまでの衛生管理を基本としつつ、食品の安全性を確保するために重要な工程を管理し、その記録を残し、製品の安全性を確保する衛生管理の手法です。食中毒などの健康被害の未然防止につながります。HACCP制度化は、食品の一層の安全を確保することが目的です。近年、食中毒の発生件数は減少していますが、事業者には衛生管理が求められています。

JA町田市の取り組み

 JA町田市のアグリハウスでは、パート職員も含めた全職員で衛生管理計画を作成し、実行内容を毎日記録しています。定期的に記録の振り返りを行うことで、より衛生的で安心な食品提供を目指していきます。

ポイント

 JA町田市では、日々実施している衛生管理の項目を、職員全員で書き出し、衛生管理計画を作成し、実行した内容を毎日記録しています。