農と食のこと

地域の方に喜ばれる農業を

熊沢 幹雄さん
本町田

熊沢 幹雄さん(69) 本町田熊沢 幹雄さん(69) 本町田

 熊沢さんの庭先販売で、1年を通して、店頭に並べてすぐに売れるのがブルーベリー。毎年売れ行きが良いため、株を増やし増産しているそうです。ここ最近は、お客さんの好みに合わせて、ブルーベリーなど、果物の栽培割合を増やしているそうです。

 町田支店本町田地区原支部の熊沢幹雄さん(69)は、妻のトミ子さん(65)と二人三脚で主に季節ごとの野菜と果物を露地栽培し、庭先で販売しています。庭先の店は、日曜日と雨の日以外は、毎日午後から営業。お客さんと親しげに会話する熊沢さんは「お客さんは常連が多く、友達みたいに接してもらっています」と、地域の方と交流しながら農業を営んでいます。

栽培技術や作業分担など常に改善

 会社員をしていた熊沢さんが本格的に農業を始めたのは定年後。毎年改良や工夫をして、今のやり方が定着したといいます。もともと実家が農業を営んでおり、幼い頃から畑仕事などを手伝っていたため、ここでの作業は苦ではなかったそうです。しかし、自ら進んで手伝いをしていたわけではなかったため、工程をあまり覚えてなく、最初の1年は手探りの状態だったと当時を振り返ります。

 「農作業は常に研究が必要。トマトの日除けに巻いている紙もいろいろ試行錯誤して、今の物を使っています。また夫婦2人で作業するため、常に作業の効率化を考えています」と、研究熱心な一面をのぞかせます。

季節ごとの野菜から意外な果物まで

熊沢さんの庭先店舗熊沢さんの庭先店舗

 熊沢さんは、季節ごとの野菜や果物を中心に多品目の作物を栽培しています。今の時期は、カボチャを5品種ほど植えていて、品種にもこだわりを見せます。

 また、少し変わった作物も栽培しています。それは、渋柿。干し柿用に欲しい方がいて、秋に店頭に並べるとよく売れるそうです。「庭先では、スーパーで販売していないものが、思ったよりもよく売れる。渋柿みたいに、売り手としては売れるか分からないものだけど、スーパーに渋柿ってないからね」。

 「季節ごとに、いろいろな商品を並べているけど、お客さんの反応があって面白いですよ」と直売の魅力を語ります。

丁寧な接客がお客さんを呼ぶ

お店には、頻繁にお客さんが訪れますお店には、頻繁にお客さんが訪れます

 熊沢さんは、午前中に収穫した野菜や果物を午後に袋詰めしながら、庭先の店舗を訪れたお客さんの接客も行っています。生産者が接客をしているから、商品について詳しく説明できる上、お客さんの要望や好みを取り入れ、次の生産に反映させることができます。店頭で品物が足りなくなったら、熊沢さんは、すぐに裏の畑から収穫して再度店頭に並べます。

 取材中も何度もお客さんが来店され、熊沢さんとの会話を楽しみながら野菜を購入していました。お客さんが多いのも、毎日店頭で接客している成果なのかもしれません。

 しかし、これだけ手間暇かけて工夫していても利益が出ているわけではないと熊沢さんは言います。「楽しく仕事ができないと、続けられないよ」と笑顔で語ってくれました。

きずな.2015年 夏号_No.38掲載