農と食のこと

野菜の多品目栽培に挑戦
消費者との会話を大切に
信頼される農産物を作り続ける

大沢 信夫さん(71)
本町田

 町田市本町田の農家の大沢信夫さんは、妻の清子さんとともにニンジンやレタスなどさまざまな野菜を年間30品目作っています。収穫した野菜は自宅近くの直売所などで販売し、種類の豊富さでお客さんを楽しませています。大沢さんはお客さんとの対話も大切にして、地域から信頼される農産物の提供に努めています。
(取材担当 町田支店:吉田壮吾、中島学)

先輩から農業学び
失敗を糧に挑戦

お客さんとの対話を大切にし、ニーズに合った野菜を提供します

 大沢さんは中学生の頃、母親の農作業を手伝い、農業に携わるようになりました。学校から帰った後、友人と遊びたい気持ちを抑えて母親とケンカしながら作業していたと当時を振り返ります。その後市役所に就職し、知人に手伝ってもらいながら農業を続けた大沢さんですが、50歳代になり異動した部署で農業をする先輩に出会い収穫量の増やし方や病気への対策などを聞くことで農業の面白さを知るようになります。休日には先輩の畑に行って勉強しました。

 そして60歳の定年退職を機に本格的に農業を始めましたが、最初は失敗の連続で、そのたびに近所のベテラン農家や先輩の意見を聞いて回りました。大沢さんは「まだまだ先輩から学ぶ事が多い。農業は勉強に終わりがない。だからこそ楽しい」と笑顔を見せます。

夫婦二人三脚で
30品目の野菜を栽培

多品目栽培に積極的に取り組みます

 現在大沢さんは、お客さんを飽きさせない、そして選ぶ楽しさを感じてほしいという思いから清子さんと二人三脚で多品目栽培に挑戦しています。またレタスであれば、ロメインレタス、サニーレタス、赤と緑のリーフレタスを作るなど複数品目の栽培も手掛けています。しかし多品目、複数品種栽培をする上で作物別の病害虫対策の必要性が課題となります。こうした中、野菜の生育状況や収穫時期を知らせてくれる清子さんの存在は欠かせません。

新鮮でおいしい野菜
消費者目線で提供

直売所には採れたての新鮮な野菜が並びます

 収穫した野菜は直売所の他、アグリハウスまちだで販売しています。新鮮さにこだわる大沢さんは、「一番おいしい時に食べてほしい」と、出荷したその日に売り切る事を徹底しています。また、アグリハウスで販売されている野菜が出回る時期を把握し、出荷時期をずらす事で、より多くの品種の野菜を消費者に届けられるようにしています。

 また積極的に野菜の栽培に取り組みますが、次に生かすために収穫後、常連のお客さんに試食してもらい、意見を聞くことや、お客さんが考えたレシピを直売所に掲示するなどお客さんとの対話を大切にしています。「お客さんから教わる事も多い」と大沢さんは話します。

 生産者との対話によりお客さんにも安心感が生まれる事で、地域に愛される直売所になっています。

 大沢さんは今後、「さまざまな年齢層のお客さんの食生活にあった野菜を育てたい。これからも新しいものにどんどん挑戦していきたい」と意気込みます。

きずな.2019年 夏号_No.53掲載