より良いものをお客様に届けるために
チャレンジと工夫を惜しまない
平山 茂さん(86)
サダ子さん(87)
父親の跡を受けて定年を機に就農。以来、常にチャレンジを繰り返し、努力と工夫を惜しまない茂さん。
珍しい野菜に取り組み、定番商品は収穫時期をずらすなど、他の生産者と違ったアプローチが茂さんのこだわりです。
「良いものを作ればお客様はついてきてくれる」。その思いで、できる限り新鮮なものを、「お客様が手に取りやすい形で届けたい」と語る茂さん。
そんな平山さんご夫妻の農業への思いを紹介します。
(取材担当 堺支店:中村 隼輔・鈴木 翔)
定年を機に本格的に就農
父の跡を受け継ぐ
町田市立堺中学校の近くで農業を営んでいる平山茂さんと奥様のサダ子さん。茂さんと農業との出合いは祖父の手伝いからでした。そのころ茂さんは会社勤めをしていましたが、祖父が一人で農業を営んでいたこともあり、よく手伝いに行っていたそうです。
転機が訪れたのは55歳のとき。定年を迎えたことを機に、本格的に就農することを決意したのだそう。現在では自宅横に200m2、相模原市に600m2と、決して広大な畑ではありませんが、定番から変わり種までさまざまな種類の野菜を生産し、アグリハウスに出荷しています。奥様のサダ子さんは茂さんの収穫の手伝いだけでなく、自身でミカンやキウイフルーツなどの果物を作り、野菜と共にアグリハウスに出荷しています。
一輪車で新鮮野菜を出荷する
アグリハウスでおなじみの光景
「祖父の手伝いをしていたから農業に対して抵抗はありませんでしたが、勤めていたときは休みの日や農繁期に手伝いをする程度だったため、上手くいかないことが多く大変でした」と、茂さんは就農当時を振り返ります。
それでも、近所で農業を営んでいる方々からアドバイスをもらいながら、徐々においしい野菜が作れるようになったといいます。現在では近所の方やアグリハウスのお客様からも非常に評判の良い野菜を出荷できるようになりました。
就農当初は、自身の畑の近くで無人販売を行っていましたが、JA町田市の職員や他の組合員さんに声をかけてもらい、アグリハウスに出荷するようになったそうです。毎日新鮮な野菜を一輪車にのせて出荷する茂さんの姿は、堺支店ではおなじみの光景です。
野菜の種類や収穫時期で
他の生産者との差別化を
耕作面積が少なく大量には生産できませんが、他の生産者が出していない品種を作ることや時期をずらして出荷すること、より良いものを出荷することが茂さんのこだわりです。
10年程前には娘さんが買ってきたことで知ったという「おかわかめ」を自分も作ってみようとチャレンジし、今ではアグリハウスで人気の野菜となりました。
また、種苗メーカーのカタログの隅々まで目を通し、メーカーの新作や珍しい野菜を見つけては生産にチャレンジする茂さん。カタログで見つけた「アイスプラント」、シシトウとピーマンを掛け合わせた品種の「ししピー」や「種無しピーマン」などといった珍しい野菜も生産しています。
一方、カボチャ、枝豆、ズッキーニ、オクラやモロヘイヤといったライバルの多い野菜は早くまける品種を園芸マットを利用し、自分で種から育てたりと、工夫しています。そのおかげで、収穫が早くなり、他の生産者よりも早く店頭に出すことができています。
そして、より良い、新鮮な野菜を出荷するために、出荷前日の夕方または当日の朝に収穫したものを出荷しています。また、形の良いものを選定し、お客様が手に取りやすいものを出すようにしています。茂さんの農業への思いには、野菜作りだけでなく店頭に並んだときのことまで考えた、こだわりがありました。
チャレンジと努力を惜しまない
その姿がお客様の評価に
経験を積んだ今でも新しい野菜にチャレンジし、わからないことがあるときは種苗メーカーのカタログを参照したり、メーカーへ問い合わせたりと、努力を惜しみません。「良いものを作ればお客様はついてきてくれる」と繰り返し話す茂さん。その言葉通り、畑やアグリハウスでは「平山さんのあの野菜はいつ出るの? 平山さんの名前を見て野菜を買っているよ」と声をかけられることもあるほど評判が良く、ファンが多い野菜を出荷し続けています。