前職の知識が活躍

広瀬昌則さん、丸和弘さん、筑城毅彦さん
小野路町、野津田町

広瀬昌則さん(40)小野路町
丸和弘さん(44)野津田町
筑城毅彦さん(38)野津田町

アグリハウスに集う若手後継者

 8月にアグリハウス鶴川店がリニューアルオープンしました。3年前より出荷を続けている丸和弘さん(44)、今春から出荷を始めた広瀬昌則さん(40)、筑城毅彦さん(38)の3人の若手後継者は、鶴川地区の農業に新しい風を吹き込み、これからのアグリハウスを牽引していく新しい力として、地域住民から期待されています。

同世代の交流の場に

 「直売所では、自分と同じ若い世代の生産者とコミュニケーションを取れる」「先輩方の作った野菜を見て学び、アドバイスをもらえる」「他の出荷者に品物を見られるという緊張感を感じられる」と、3人は口々にアグリハウス鶴川へ出荷する魅力を語ります。アグリハウス鶴川は、地域の方のための直売所としての役割はもちろん、生産者のコミュニケーションの場としても重要な役割を果たしています。

前職の経験いかして

 農家の長男として生まれた3人は、学業終了後は、それぞれ会社で働いていました。就農後は社会での経験を農業にいかしています。スーパーに勤めていた丸さんは、出荷状況、需要と供給のバランスについて厳しい目を向けます。広瀬さんは飲食業界での経験から、商品の鮮度と荷姿にこだわります。前職がIT関連企業の筑城さんは、ホームページでの情報発信を重要視しています。

 アグリハウス鶴川で販売される農産物は、生産者の名前が表示されるため、商品の見栄え以外にも陳列の順番や位置、出荷量などで売り上げが大きく左右されます。3人はその強みをいかすことで集客量、売り上げの増加を目指しています。地域の名だたる先輩生産者たちと同じ土俵で戦っていくことは容易ではありませんが、若い世代の足並みは見事にそろっています。

先輩からも学ぶ

これからの「アグリハウス鶴川」を担う3人これからの「アグリハウス鶴川」を担う3人

 アグリハウス鶴川は、世代を超えた生産者同士が意見交換をする場でもあり、先輩から学ぶことは非常に多いといいます。一方で若い生産者の活躍はベテラン生産者に刺激を与えています。

 今後の目標について、丸さんは「先輩たちがやってきたことは継続しつつ新しいことにチャレンジし、アグリハウス鶴川を良くしていきたい。若手が主力となった時、お客様に毎日行きたいと思ってほしい」と話します。広瀬さんは「お客様の立場を常に意識して、良質な農産物を生産することで、幅広い年代の方に利用してもらいたい」と意気込みます。筑城さんは「現在よりもお客様が増えるように出荷量を増やしていきたい」と語ります。将来への志の高い農業後継者がアグリハウス鶴川を明るい未来へと導きます。

「家族農業」が再評価されています。2014年は「国際家族農業年」

 2014年は国連が定めた「国際家族農業年」です。家族農業や小規模農業が、飢餓や貧困の撲滅、食料安全保障の確保、環境保護などに大きく貢献していることを周知するために設けました。

 世界には5億戸以上の家族農業があり、農業の主要な経営形態となっています。

 家族農業は、さまざまな栽培システムも維持しています。例えば、棚田などの伝統的な食料生産を守っています。今、家族農業の価値が再評価されています。

きずな.2014年 秋号_No.35掲載