農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第4回:オクラ(アオイ科フヨウ属)

土壌医 藤巻久志

 英語のオクラの語源は、オクラを意味するアフリカ・ガーナ地域の言葉「ンクルマ」だといわれています。オクラというと山上憶良(やまのうえのおくら)を思い浮かべる人もいると思います。「銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子に及(し)かめやも」の詠み人です。オクラには滋養強壮作用があるといわれています。

 アオイ科フヨウ属のオクラは、同科同属のハイビスカスに似た黄色の花を咲かせます。野菜の花の中でオクラの花は人気上位です。オクラは花観賞用としても秋まで長い間楽しめます。開花は早朝から始まり、午後にはしぼみます。

 日当たりの良いベランダでしたら、オクラは鉢栽培もできます。オクラはアフリカ原産で暑さには特に強いですが、寒さには弱いです。発芽適温も生育適温も25〜30度なので、種まきは5月中旬以降にします。

 オクラは草丈が1m以上にもなるので、10号(30cm)以上の鉢を用意します。市販の培養土を鉢に入れ、真ん中に4〜5粒種まきし、1cmほど覆土し、軽く鎮圧します。オクラの種は表皮が堅く吸水しにくいので、一昼夜水に浸してから種まきすると発芽が早まります。

 子葉が出たらはさみで切って2〜3本に、本葉3〜4枚で1本立ちにします。草丈が30cm以上になったら、120cmぐらいの支柱を立てて、倒伏を防止します。

 株元に腐葉土やわらを敷き、乾燥を防ぎます。過湿に気を付け、毎日適量の水やりをします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。

 開花後3〜5日の若いさやをはさみで切って収穫します。取り遅れると、すぐにさやが堅くなってしまうので、小まめに収穫します。収穫したさやの下の葉は、順次はさみで切っていきます。

 オクラ納豆、天ぷらなど、夏の味覚をお楽しみください。

第4回:オクラ(アオイ科フヨウ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。