農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第26回:ズッキーニ(ウリ科カボチャ属)

土壌医 藤巻久志

 ズッキーニは果形からキュウリの仲間と思う人が多いです。同じウリ科であることは間違いありませんが、キュウリはキュウリ属、ズッキーニはカボチャ属でカボチャの仲間です。

 カボチャには東洋種、西洋種、ペポ種などがあります。東洋種は日本カボチャともいわれ、粘質でねっとりしています。西洋種は栗カボチャともいわれ、粉質でほくほくしています。現在流通しているカボチャのほとんどは西洋種です。

 ズッキーニはペポ種に属し、同種には金糸瓜(そうめんカボチャ)、ハロウィーンカボチャ、おもちゃカボチャ、飼料用カボチャなどがあります。食用になるものは淡泊な味が多いです。

 日当たりが良ければベランダでも栽培できます。苗の購入や育苗する方法もありますが、地温が15度以上になればじかまきが簡単です。

 10号(30cm)以上の鉢に市販の培養土を入れ、中央に種を3粒まき、厚さ1cmの覆土をします。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。本葉1枚の頃子葉の形の良い物を残して2本立ちにし、本葉3枚のときに1本立ちにします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。

 ズッキーニは葉が大きく風に振り回されやすいので、短い支柱を交差して株を固定します。キュウリと同じく単為結果性(受精しなくても子房が肥大して果実ができる性質)が高く、人工授粉しなくてもよく着果します。葉に白い斑が入る品種が多いので、病気のうどんこ病と間違えないでください。

 開花後4〜5日、長さ約20cmの幼果を収穫します。取り遅れるとすぐに大きくなり過ぎるので、葉に隠れている果実を見逃さないようにします。

 ズッキーニは癖がないのでいろいろな料理に利用できます。ソテーや肉詰めなど油との相性も良いです。

第26回:ズッキーニ(ウリ科カボチャ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。