農と食のこと

土の中の小さな害虫「センチュウ」土壌消毒などの対策を

 今回の営農情報は、なかなか気がつきにくい「センチュウ(線虫)」を取り上げたいと思います。

トマト根部の被害
トマト根部の被害

 センチュウは非常に小さな虫で、成幼虫ともにウナギのような形をしており、体長は1mm弱で体色は透明に近く、親指の爪の上に7000~8000匹程度並べられる程の大きさなので肉眼での観察はほぼ不可能です。特に農作物に被害をもたらすのが、ネコブセンチュウや、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウといった寄生性センチュウです。

 ネコブセンチュウが寄生すると、根にコブがたくさんできたりヒゲ根が多くなったりします。

 ネグサレセンチュウが寄生すると、根に赤褐色のシミが多くできて表面がザラザラになり根の先が腐ったり、二股三股や寸詰まり、ヒゲ根が多くなったりします。

 シストセンチュウが寄生すると、天気の良い日にしおれ、夕方から立ち直るなどをくり返し、やがて枯れてしまったりします。

 近年、施設栽培の普及や畑の環境から、同一の作物が連作される機会が増えてきています。それに伴い連作障害が問題となっていますが、センチュウもその要因の一つと考えられます。他の害虫に比べ目に付きにくく防除に対する認識は低いとも考えられますが、センチュウが加害する作物の範囲は広いため農作物に大きなダメージを与えます。靴の裏やトラクター、くわなどの農機具に付着し分布の拡大が進むことで被害拡大の原因になりますので、作業終了後には、よく水洗いをするように心がけてください。

センチュウ被害を受けやすい作物

果菜類 トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、イチゴ
葉菜類 ホウレンソウ、レタス
根菜類 ニンジン、ゴボウ、ダイコン
イモ類 サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ
マメ類 ダイズ、インゲン

防除方法

 土の中にいるセンチュウの退治は土壌消毒で行うのが一般的です。JAの窓口で販売している「ネマトリンエース粒剤」「クロルピクリン」などの薬剤を使うと効果的です。

 米ぬかを使用した方法もあります。1.5坪(約4.95平方メートル)に1袋の米ぬかを畑に入れ、たっぷり水をかけ、その上からビニールをかけます。地温が70℃以上にならないと効果は期待できませんので注意が必要です(→ビニールハウス向け)。米ぬかはリンを多く含みますので次に作付けする作物にも注意をしましょう。

  マリーゴールド(フレンチマリーゴールド)やイネ科のネマキングなどを使うのも有効です。

センチュウ対策のおすすめ商品

  • ネマトリンエース粒剤(普通物) 5kg ¥3,800-
  • クロルピクリン錠剤(劇物) 400錠 ¥4,460-

  被害状況や症状により使用方法が異なりますので、効果的な使用方法については各支店経済課または経済センターふれあい課までお問い合わせください。

根こぶ病

 根にコブがついていれば必ずネコブセンチュウが寄生したとは限りません。似たような症状に、根こぶ病があります。ネコブセンチュウと同じように根にコブを作りますが、根こぶ病は主にアブラナ科の作物を連作すると発生しやすくなります。センチュウと防除の仕方が異なります。

 詳しくは、JA町田市各支店経済課または経済センターふれあい課までお問い合わせください。

きずな.2013年 秋号_No.31掲載