農と食のこと

親から子へ~繋がる「農」への想い「親子の想いを野菜に込めて」

原兵吉さん・義浩さん親子
町田市相原町

原義浩さん(45)・原兵吉さん(78)親子 相原町原義浩さん(45)・原兵吉さん(78)親子 (相原町)

 町田市相原町の原兵吉さん(78)と義浩さん(45)は、親子二代で『アグリハウスさかい』への野菜出荷を中心に農業経営をしています。「先代から次世代へ繋ぐもの。それは、技術だけでなく『農』への想いも引き継がれていくものなんだよね」と原さん親子は素敵な笑顔で応えてくれました。

父 兵吉さんの想い

 兵吉さんは野菜部会堺支部の支部長を務めたこともあり、『アグリハウスさかい』に出荷している生産者の中でも重鎮的存在です。兵吉さんに、幼少時代のことを尋ねると、戦前、戦後は食糧難で、学校から帰ってくれば農作業を手伝うのは当たり前の時代だったそうで、どこの家庭でも「農」と「生活」が今よりも直結していたことを教えてくれました。兵吉さんが先代から本格的に農業を引き継いでから約50年、時には我が子同様に育てた作物が、台風により一晩で全滅してしまったことも。「悲しい事もあったけれど、今思えば良い経験。家族が一丸となって、仲良く・明るく・健康にここまで過ごせたことが一番の宝物なんだよ」と笑顔で話す兵吉さんにその人柄が伺えます。

息子 義浩さんの想い

 化学系の大学を卒業後、研究機関で使用される特殊な分析装置を扱う会社に20年勤めた義浩さん。極微量の残留農薬分析などもしていたとか。農業を継いだきっかけを尋ねると、早くに父を亡くした友人からの「家を守るには、親父の人生と自分の人生が重なる時間をつくるべき」との進言に共感し、会社員生活も20年の区切りを迎えたのを機に決心して、農業の世界に飛び込んだそうです。義浩さんの幼少時代は、両親が毎日大根を1000本近く出荷していたので、収穫から洗い、箱詰めを手伝い、市場への出荷にもよくついて行ったそうです。「実は、市場にある自動販売機のコーラが目当てだったんだよね」と笑いながら話す義浩さん。それでも、毎日遅くまで家族の為に働く両親の背中を見て育った義浩さんは、農業を続ける喜びと大変さも、幼心ながらに感じていたそうです。

繋がってゆく想いを野菜に込めて

原さんと堺支店の職員原さんと堺支店の職員

 お二人に今の想いを伺うと、兵吉さんは「息子が農業を継ぐ決心をしてくれたこと、本当に嬉しく感謝しています。家族の為にも体を大切に、諸先輩方の指導をいただきながら、地域の皆様に愛される農業を目指して欲しいと心から願っています」とあたたかい言葉が。義浩さんからは「これからも、『アグリハウスさかい』のスタッフの皆さんとも連携・協力して、お客さまが『美味しい!』と喜んでくれる野菜をたくさん作っていきたい。親父も元気でいてくれよな」と少し照れながら話してくれました。
 原さん親子からお客さまの食卓へ。野菜に込めた想いも届く事を願っています。

きずな.2013年 春号_No.29掲載