就農から20年、
手間暇かける野菜作りで“おいしさ”を食卓へ
石井 伸一さん
南成瀬
南地区成瀬第一支部の石井伸一さんは、JR横浜線沿いの畑で20年以上農業を営んでいます。石井さんの畑は近隣住民だけでなく、ウオーキングをしている人にも親しまれています。栽培している野菜は年間約20種類で、季節の野菜が中心ですが、白いニンジンなどの珍しい野菜に挑戦することもあります。11月にはビニールハウスを新たに2棟新設しました。石井さんは試行錯誤を繰り返しながら、品質の向上、生産量・出荷量の増加を目指しています。
初めての農業 試行錯誤を繰り返し
ひなたぼっこをしながら農作業を手伝います
石井さんはもともと自動車工場に勤めていましたが、家業である農業に専念するため退職し、専業農家になりました。就農歴は20年以上になります。約50アールの畑で20種類以上の野菜とミカンなどの果物を栽培しています。
就農後、すぐに父親が他界してしまい、最初は分からないことばかりでした。幼少期から父親の手伝いはしていたものの、本格的に農業を行うのは初めてで、何もかもが手探りの状態でした。野菜の作り方や害虫対策などでたくさん苦労をしましたが、他の農家の畑を見学したり、農業の本を読んで勉強したり、試行錯誤を繰り返して今のやり方にたどり着きました。
こうした努力は今も変わっていません。石井さんは「農家やJAを取り巻く情勢は日々変わっていく。そうした変化に対応していくためには、日々勉強して学んでいかなければならない」と話します。就農から20年以上たっても変わらない向上心を持って、町田市の認定農業者として農業に取り組んでいます。
消費者思いの野菜作り
石井さんの喜びは、消費者においしい野菜を食べて喜んでもらうことです。
小まめに草を刈り、できるだけ農薬に頼らずに栽培する事を意識しています。収穫した野菜の中でも、出来が良いものだけを厳選して出荷します。おいしい地場の野菜を食べてもらうための苦労や手間は惜しみません。
アグリハウスの「生産者紹介パネル」で石井さんの顔写真を見た消費者から「石井さんの野菜食べたよ。おいしかったよ」と街中で声を掛けられることもあります。こうした消費者の声に励まされながら、野菜を出荷しています。
農業の魅力を次世代に伝える
石井さんは、昨年11月に補助金を受け、ビニールハウスを2棟新設しました。
ビニールハウスで栽培することにより、病害虫の発生を抑えて農薬の使用量を削減すること、季節の野菜を通年販売することが目的です。現在はアグリハウスや学校給食に出荷するのみですが、将来の展望について、「ビニールハウスでの栽培が安定して高品質な野菜の出荷量が増えていけば、出荷先も増やしていきたい」と話します。
さらに石井さんはビニールハウスの設置に込めた思いを「農家の担い手不足が社会問題となる中、この問題を解決するためには、若者にとって農業を魅力的なものにする必要がある。農業所得を向上させ、所得の面でも農業の魅力を次世代に伝えて行くことができれば、町田の農と緑を維持していくことができる」と力強く語ります。
きずな.2018年 冬号_No.47掲載