農と食のこと

多方面で活躍する町田市農業の立役者
優しさと思いやりで地域に貢献

細野 義さん(66) 小山町

 定年後に始めた農業が大好きだという細野さん。勤めていた会社ではバスの整備を担当していたため、今でも農作業で使用するテーラーやチェーンソー、芝刈り機の修理は人に任せず、自分で行っています。何事にも熱心に取り組む努力家の細野さんは「いつか自分で作った野菜を農産物品評会に出品したいです」と力強く夢を語ります。
(担当 三田村翔太、中島学)

 町田市小山町で農業に励む細野 義さんは、「親が残してくれた畑を残したい」という思いから農業を始め、今では自らの畑だけでなく地域の農業にも目を向け、町田市農業委員会に所属し、農地利用最適化推進委員(以下、推進委員)としても活躍しています。
 地域の農業者を支援する活動はもちろん、地域住民に農業の楽しさを伝える活動も展開し〝農家の視点〟で町田市の農業を守っています。

安心でおいしい野菜を届けたい

おいしいジャガイモがとれました

 子どもの頃から農業に親しんできた細野さんは、「親が残してくれた畑を残したい」と思い、勤めていた会社を定年退職した平成23年から本格的に農業を始めました。
 自宅近くにある10アールの畑では、ジャガイモやタマネギ、ハクサイ、スナップエンドウなどを栽培しています。作っている野菜は「保存しやすいもの」が中心です。安全でおいしい野菜を消費者に届けることにこだわり、「農薬はなるべく使わないようにしています」と話します。
 多くの人に野菜を食べてもらいたいという思いから、野菜の価格が高騰している時でも値段は上げませんでした。作った野菜は自宅近くにあるリサイクルショップの「大坂屋」に卸していますが、今後は新鮮な取れたて野菜を直接お客さんに届けるため、自宅の庭先で直売所を開くことを目指しています。

地域農業の発展にも貢献

イチゴの生育を確かめる細野さん

 農業に励む傍ら、推進委員を務めており、農地パトロール(利用状況調査)や、農地を有効利用する意義・重要性を地域に伝える活動をしています。「地域農業者との会話を大切にしています」と笑顔で話す細野さんは、町田市の農業を守るため、地域農業者の経営や後継者問題についての相談にも積極的に乗っています。
 農業を通じて地域住民と交流することも大切にしています。5月27日には、忠生公園の田んぼで、市の広報誌の募集を通じて集まった小学校2・3年生の親子33人とともに、機械を使わず手作業で田んぼにもち米の苗を植えました。細野さんは農業委員の方々とその後も足しげく田んぼに通い、植えた苗の状況を確認しています。
 毎年11月末に開催される恒例の収穫祭では、収穫したもち米をついて、のし餅を作る予定です。みんなで植えたもち米の苗が無事に育つよう、細野さんは手入れに余念がありません。農家の視点で地域に貢献する細野さんは、「地域の人との交流はもちろん、町田市の農業の未来を考え、これからも自分にできることをしていきます」と力を込めます。

きずな.2018年 夏号_No.49掲載