全力で農業と向き合い、
旬を大切に質の高い農産物を届ける
廣瀬昌則さん(50)
小野路町
![](img/250106_01.jpg)
町田市小野路町にある畑で、お父様の忠男さんと、カブや白菜、大根、ピーマン、キュウリなどさまざまな野菜を育てる廣瀬昌則さん。
町田市農業祭農産物品評会では最優秀賞の東京都知事賞、営農技術競技会ではキュウリ部門優秀賞を獲得するなど、高い評価を得る生産者です。
今回は、そんな昌則さんの農業に対する想いや苦労、今後の目標などを伺いました。
(取材担当:鶴川支店 小島栄作・植村美智枝)
27歳で農業を手伝い始め、
JAの活動も積極的に行う
![](img/250106_02.jpg)
廣瀬昌則さんは町田市の小野路町で幼い頃から実家の農業の手伝いをしていました。成人してからは箱根の旅館で数年働いたのち、一人っ子ということもあり退職して、27歳で農業を本格的に手伝い始めました。
現在は父・忠男さんと共に「いい野菜を作りたい」という強い想いを胸に日々農業を営んでいます。
昌則さんはJA町田市の活動にも積極的にかかわり、野菜部会鶴川支部副部長、小野路第二支部副部長、青壮年部会などを兼任しています。
そんなさまざまな活動をする中で、多くの方と出会えたことや先輩方が頑張っている姿を見て「自分も頑張らないと」と刺激を受けているそうです。
自身の母校である鶴川第一小学校ではゲストティーチャーとして食育を行い、市内小学校の栄養士との意見交換会へも参加しました。また、JA町田市に来春入組する内定者への収穫体験の実施に協力するなど、地域に密着した活動も行っており、地域活性化の担い手にもなっています。
日々、試行錯誤を繰り返し
品評会で高評価を得るまでに
![](img/250106_03.jpg)
以前は単一野菜を大量に作って市場に出荷していましたが、時期によっては出荷できる野菜が無くなってしまうこともあったため、現在では一年を通してJA町田市のアグリハウスにさまざまな野菜を出荷し、町田市農業祭や明治神宮新嘗祭の野菜宝船へ野菜を毎年提供しています。
そんな昌則さんの野菜は、大きさ・形・艶など農産物の品質を競い合うコンテストである町田市農業祭農産物品評会でも高評価を得ています。
第43回はカブ、第49回は白菜で、40代の若さながら最優秀賞の東京都知事賞を受賞しました。
さらには、東京農家のたゆまぬ努力により、丹精込めて育てられた約1000点にものぼる農畜産物が出品される東京都農業祭では、大根の有名産地である練馬区や世田谷区の生産者を抑え、トップの評価で関東農政局長賞を受賞するなど、さまざまな品目で高い評価を受けています。
しかしながら、このような結果の裏には、幾多の苦労や努力がありました。
土の状況や病気の有無、害虫が付いていないかなどを毎日欠かさず確認するのはもちろん、急激な気候変動によって従来の方法では栽培が難しくなったり、集中豪雨により畑が被害にあったり、外来動物によって野菜が傷んでしまったりといった問題も乗り越えてきました。その都度原因を調べ、どうしたら改善・対策が出来るのかを考え、今までの経験や自身で記録してきた情報を掛け合わせて新しい方法を試みるなど、試行錯誤を繰り返しながら日々全力で農業と向き合っています。
「失敗や上手くいかなかったことをそのままにしておくのではなく、原因追究と改善策を考え、それを実践・記録していくことがとても大事」と話します。
営農技術競技会でも
最高評価を目指して
常に前を向く昌則さんは、新たな目標に向かって邁進中です。品評会への農産物の出品だけでなく畑の状態や栽培の方法までが審査対象となる立毛審査が行われる営農技術競技会にも挑戦しています。
第51回町田市農業祭ではハウストマト、キュウリ、露地トマト、ナスの4品目について営農技術競技会が実施され、6月19日に行われたキュウリの部門で、見事、優秀賞を受賞しました。
「野菜によっては害虫・病気の有無はもちろんのこと、つるの角度や、芽の形や状態を毎日一つずつ確認し、通路もきれいに保つなど大変なことも多いが、営農技術競技会でも都知事賞をとるのが目標です」と意欲を語る昌則さん。
気候変動などに加え、今はコスト高による利益の減収や、物価高による消費者の節約志向など心配は尽きませんが、「消費者の方には、それぞれ野菜には旬があり、新鮮な旬の野菜の味を知ってほしい」と語る姿が印象的でした。