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第10回:サトイモの収穫と上手な貯蔵のコツ

板木技術士事務所 板木利隆

 サトイモの主成分はでんぷん類、このでんぷんは加熱すると糊化し、消化吸収しやすくなります。カリウムは芋類の中では最も多く、高血圧予防に効果的です。

 タンパク質、ビタミンB群、Cなどを多く含み、栄養価が高いのが特徴、しかも食物繊維も豊富で水分に富み、意外に低カロリー、体重が気になる方にもお勧めです。

 秋になって盛んに育ち、芋が肥大したサトイモは、晩秋に入ると育ちが止まり、収穫期を迎えます。

 収穫適期の目安は、葉の緑が黄化し始め、葉が少し垂れ気味になった頃です。サトイモは寒さに弱く、1〜2回霜を受けただけで葉は容易に枯れてしまいますが、この頃が収穫の限界です。掘り遅れると品質を損ねるだけでなく、貯蔵した場合の故障芋が多くなってしまいます。

 収穫するに先立って、図のようにあらかじめ葉身を地上5〜6cmの高さで、鎌で刈り取っておきます。芋や根は強大に太っているので、株の側方に大きくくわを打ち込んで、子芋や孫芋を外さないよう注意して、株全体を丁寧に掘り上げます。

 すぐに利用する場合は、その場で全ての子芋、孫芋、ひ孫芋を親芋から取り外します。多数の株を効率よく取り外すには、外側の外れやすい子芋を取り除き、残った株を手で持ち上げて、大きなビール瓶などで横から強く打つと、案外傷つかずによく外れ落ちます。

 貯蔵する場合には、子芋、孫芋などを外さないよう、特に注意して取り扱いましょう。外れてしまうとその傷口から傷み始めるので、貯蔵中の故障株が多くなります。

 貯蔵する場所は排水の良い畑を選んで、幅40〜50cm、深さ60cmぐらいの貯蔵穴を設けます。そして掘り起こした株を丁寧に運び、地上部の切り口を下方に向けて丁寧に積み重ね詰め込みます。反対に詰めると子芋が離れやすく、傷口から腐敗する芋が多くなります。

 貯蔵穴を全部詰め終わったならその上に麦わら、稲わら(カヤが得られれば最高)などで覆い、5〜6cm覆土しておきます。さらに厳寒期に入った頃に10〜15cmの覆土を追加して寒さから守ります。

第10回:サトイモの収穫と上手な貯蔵のコツ

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。