ベランダでできるキッチンガーデン
第5回:スイスチャード(ヒユ科フダンソウ属)
土壌医 藤巻久志
チャードとはフダンソウのことです。アカザ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではヒユ科になりました。ヒユ科の野菜にはホウレンソウやビート、オカヒジキなどもあります。
野菜が主に八百屋で売られていた時代、フダンソウは夏場の葉物として重宝されてきました。生産者と消費者がコールドチェーン(低温流通)でつながった現在は、夏でもホウレンソウや小松菜がスーパーに並んでいます。ホウレンソウや小松菜がいつでも食べられるようになると、フダンソウは泥臭いと嫌われ、ほとんど栽培されなくなりました。
ところが、20世紀末にカラフルで癖の少ないスイスチャードが日本に導入され、直売所や家庭菜園で人気になりました。葉の軸が赤、白、黄色、それらの中間色にも分かれ、とてもきれいなので、観賞用として鉢植えや花壇の縁取りなどにも利用されています。
フダンソウは暑さにも寒さにも強いので、漢字では「不断草」と書きます。スイスチャードはベランダでも簡単に栽培できます。
深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間15cmの筋まきにします。種は皮が厚いので、一昼夜水に漬けて十分吸水させてからまくと発芽が早まります。種が隠れる程度に覆土して、軽く鎮圧します。発芽するまで乾燥しないように、たっぷり水やりをします。
子葉が開き切った頃から、葉と葉が重なり合った場所を間引いていきます。間引いた物は、ベビーリーフとしてサラダの色添えに利用できます。追肥は、1週間に1度、1000倍の液肥を施します。最終的に株間を15cmにします。
草丈が10cmくらいになった物から順次収穫します。取り遅れると、アクが出て筋っぽくなります。若い葉を摘み取り収穫もできます。
ホウレンソウと同じように、おひたしやあえ物、炒め物にご利用ください。
※藤巻久志(ふじまきひさし):種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。
※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。