ベランダでできるキッチンガーデン
第21回:イチゴ(バラ科オランダイチゴ属)
土壌医 藤巻久志
果物屋でも八百屋でも売られているメロンやイチゴは、果物、それとも野菜でしょうか。
植物的分類では、野菜は毎年種をまいたり苗を植えたりして収穫する一年生の草本作物で、果物は樹木に結実する実を何年にもわたり収穫する永年性の木本作物です。
ウリ科のメロンは種から育てて、1年以内に収穫を終える草本作物なので、植物的分類では野菜です。イチゴはバラ科で、バラ科は永年作物ですから果物になります。
農林水産省の統計ではメロンやイチゴは野菜として集計されますが、同省が認可監督する中央卸売市場では果物として扱われます。メロンやイチゴは「果物的野菜」に分類するのが良いのかもしれません。
イチゴはベランダでも簡単に栽培できます。10月になるとキッチンガーデン向きの品種の苗がホームセンターなどの店頭に並びます。ポット苗に付いているラベルの写真と説明を見て、好みの苗を購入します。
深さ15cm以上のプランターをベランダの日当たりの良い所に置き、市販の培養土を入れます。株間15~20cmに、クラウン(根茎部分)の根元が見えるくらいに浅植えします。土が乾いたら冬でも水やりをします。
活着する11月上~中旬と、葉茎が本格的に伸びてくる2月下旬~3月上旬に1000倍の液肥を1週間置きに施します。黄色く枯れた葉や赤くなった葉は、葉の付け根から丁寧にかき取ります。
品種やその年の気候によっても多少違いますが、5~6月に収穫できます。赤くなった物から収穫します。果実には手を触れずに、果梗(かこう)のところを爪で摘み取ります。
収穫が終わると、親株からランナーが伸びて子株ができます。この子株を育てて苗を作ります。これを毎年繰り返します。
数年後にイチゴを収穫しながら「このイチゴは〇〇ちゃんが生まれた年から栽培しているのだよ」という会話ができるかもしれません。
※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。
※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。