農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第23回:ニラ(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志

 韮(ニラ)という漢字を見ると、山梨の韮崎高校や静岡の韮山高校を思い浮かべます。どちらも通称「韮高」です。韮崎高校はサッカー、韮山高校は野球の伝統校です。両校の元気の源はニラレバ炒めではないかと勝手に想像しています。

 両校とも文武両道で生徒はとても勤勉だと思います。ところがニラの別名は懶人草(らいじんそう)で、懶人とは怠け者のことです。ニラは栽培が簡単なので、怠け者でも作れるからです。

 暑さや寒さに強く、ベランダのプランターでも栽培できます。半日陰でも丈夫に育ちます。多年草なので一度種をまけば根が残って毎年収穫できます。種まき適期は3〜4月です。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、10cmの間隔で1カ所に約10粒の点まきをします。薄く覆土し、軽く鎮圧します。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。

 草丈が約10cmになったら、1カ所3〜4本に間引きします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。さらに草丈が伸び20〜25cmになったら、株元を4〜5cm残してはさみで切り取り収穫します。株が充実してくる翌年からは、年に4〜5回収穫できます。

 夏から秋にかけては花蕾(からい)が伸びてきて、白いきれいな花を咲かせます。花を楽しんでも良いのですが、開花・結実させると株が弱るので、早めに摘み取った方が良いです。摘み取った花茎は、おひたしなどにすると美味です。

 冬になると地上部は枯れます。枯れ葉は病原菌のすみかにならないように、きれいに刈り取っておきます。根は生きているので、春になると新葉が伸びてきます。3〜4年たつと株が弱ってくるので、掘り上げて株分けして植え替えます。

 ニラはギョーザの具、みそ汁の実、卵とじ、おひたし、あえ物などいろいろな料理に使えます。

第23回:ニラ(ヒガンバナ科ネギ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。