生産履歴記帳(記入)を忘れていませんか
消費者の食の安心・安全に対する関心は高く、生産者もその声に応えることが求められています。JAなどの販売者には、販売をした「販売責任」というものがあり、生産者には作物を作った「生産責任」があります。今回の営農情報では、生産者の「生産責任」としての “生産履歴記帳”に触れてみたいと思います。
生産履歴(栽培履歴)とは
組合員の皆さまが農産物を生産するに当たり、種まきから栽培、収穫、収穫後の加工など、それぞれの工程で行った作業を履歴として記録し、消費者や納品先の求めに応じて提出できるように、作業記録や栽培日誌として作物ごとにまとめたものを言います。
なぜ生産履歴が必要なのか
近年、海外からの農産物の増大や産地偽装など、「食の安心・安全」を脅かすような事故が発生しています。
消費者は、その作物が「安心・安全」かを見た目では判断することができません。
生産履歴がはっきりした農産物は、消費者や納品先に「安心・安全」を届けるための証明書となります。生産者としての信頼を確保するため、生産履歴の記帳が求められています。
JAの直売所などに出荷している人だけでなく、庭先販売をしている人も対象となります。
農産物の安全確保
作物の生産には生産基準があり、農薬等の適正使用が求められています。しかしながら、近年農薬の適用外使用や、使用基準の間違えなどの違反事例が発生しています。そのような事故を防ぐため、生産履歴記帳を行い使用基準の再確認をしましょう。
(例:大根抜き菜→大根に使える農薬でも大根抜き菜には使えないものがあります)
消費者への安心と安全を届ける
生産履歴のはっきりした農産物は、消費者や納品先に「安心・安全」を届けます。また、消費者や納品先から生産者への信頼を得られることにもつながります。
決して、JAのために生産履歴記帳をするものではありません。
無実の証明
出荷物に万が一残留農薬などが検出された場合、その責任は生産者にも課せられます。近隣の畑から飛散した農薬が作物に付着する事も考えられます。生産履歴により原因の分析や絞り込みができることにより「無実の証明」や「問題の早期解決」が可能となります。
農薬の適正使用違反が発見された場合、使用した生産者だけが罰則を受けるだけでなく、直売所などでは出荷者全員に出荷停止命令や回収命令など厳しい罰則が与えられます。
生産履歴記帳の内容
生産履歴には消費者が「安全・安心」とわかる内容の記入が必要です。
いつ 作業を行った日付
だれが 生産者名
どこで 畑などの場所
なにを 作物の名前
どうやって 作業手順や作業基準、使用した資材の名前
どのように 使用した肥料や農薬の名前や数量
JA町田市では、平成18年より生産履歴記帳を組合員の皆さまにお願いをしております
生産者としての「責任」を再確認していただき、忘れずに生産履歴記帳を行いましょう。
「俺は年だから」や「面倒だから」などの言い訳は通用しません。品物を買っていただくお客さまの立場に立って、自分の作った品物に「責任」を付けて「安心・安全」を届けましょう。
JAへご相談ください
JA町田市では、生産履歴記帳のための専用様式をご用意しております。また、アグリハウスや量販店などJA経由で出荷されている組合員の方には、パソコンでも入力できるシステムも導入しておりますのでご活用ください。
詳しくは、営農支援課または各支店経済課までお問い合わせください。
きずな.2017年 秋号_No.46掲載