予測できない気象状況への対応
昨年は冬野菜の高騰が続きました。農林水産省が発表した「食品価格動向調査(野菜)」によると、昨年12月の最終週はレタス1キロ当たりの全国平均小売価格が、平年に比べて約2.4倍の1,230円となった他、ハクサイやダイコン、キャベツも約2倍の高値となりました。高値は春先まで続き、家計を直撃しました。
9月は全国的な長雨や日照不足といったぐずついた天候が続き、さらに10月中旬の長雨と11月下旬の低温が生育に影響を及ぼしました。JA町田市管内の農作物にも被害が出て、アグリハウスでも品薄の状態が続きました。
降雨は地域差が大きいですが、低温は全国的に広がったため、影響を受けやすいレタスは軒並み打撃を受けました。ハクサイやダイコンも例年であれば割安感が出る冬場にもかかわらず、価格が上昇し、家庭に届きにくい状況が続きました。
野菜の育ちやすい温度や光の適応性はそれぞれ異なりますが、低温と日照不足が続くと生育不良になり、株の勢いが低下してしまいます。さらに、長雨が重なると、土が固められて根が酸欠状態となり、収穫量が低下する恐れがあります。また、雨により圃場(ほじょう)の条件が悪くなると、計画的な作業ができなくなります。
このような状況にならないよう、今回は対策方法を紹介します。
- 溝切りなどを行い、排水しやすい環境作りを行う。また圃場周辺にも排水溝を作り、場外からの水の浸入にも対処して、作業できる環境作りに努める。
- 仮の畝(うね)立てなどにより、圃場内が乾きやすいようにする。
- 排水の悪い圃場では、通常畝を立てない場合は畝立てを、畝立てする場合は通常よりやや高めの畝とする。
- 播種(はしゅ)後の降雨等によって、種子が流れたり発芽不良が起きたりした場合は、早めにまき直しを行う。
- 苗作りをする場合は、軟弱徒長に注意する。また、定植等の作業が予定通り進まない場合もあるため、可能なら鉢替えをするなど苗の老化に注意する。
- 播種や定植が極端に遅くなり気温や地温が低下するような場合は、マルチや不織布、トンネルなどの利用も検討しておく。
- 日照不足にはシルバーやホワイトの反射シートを敷き、散乱光を確保することも有効。
- 病気の発生が多くなることも予想されるため、大雨後の予防剤の散布を実施する。
詳しいことは、JA町田市の各経済店舗および経済センター営農支援課までお尋ねください。
収穫期終盤に向かう夏秋野菜、生育初期に当たる秋冬野菜等の農作物管理には、十分な注意が必要です。今後の気象情報などに十分注意しましょう。
きずな.2018年 夏号_No.49掲載