農と食のこと

健康野菜のナス栽培

 ナスの皮は、青紫色の天然色素「ナスニン」を含んでいます。抗酸化作用があることが知られ、過剰な活性酸素を除去したり、発がん性物質の活性化を抑制したりする効果が期待できます。また、生活習慣病の予防に効果があるとされています。

ナスの定植

 ナスは高温性の野菜で、夏の暑さにもよく耐え、雨にも比較的強くて作りやすい野菜です。土壌水分が多く、耕土の深い、肥沃な畑が適します。日当たりの良い場所を好み、日照時間が長く、日射量が多いほど収量も多くなります。「ナスは水で育つ」といわれるくらいで、水が不足すると、生育が悪くなって収量が上がらないだけでなく、果実のツヤがなくなり、ハダニ類の被害が多くなります。なお、ナスは連作を特に嫌う野菜ですので、トマト、ピーマン、ジャガイモなどのナス科野菜を3、4年は栽培していない畑を選びましょう。また、連作障害の予防として、接木苗がおすすめです。ナスの接木苗は生育を良くし、病気への抵抗を強くする効果があります。

土作り

 定植2週間以上前に苦土石灰を散布して耕し、1週間前に堆肥、元肥を施して再度耕します。畝作りは定植2、3日前に行います。

ここがポイント!

 通常の果菜類は1本の苗に対して、片手1杯の肥料とその10倍の堆肥が必要です。ナスは肥料食いなので3倍、接木苗は5倍必要です。また、追肥はナスの収穫が始まる頃から、2週間に1回、高度化成を散布します。

オススメの肥料

JA町田市オリジナル
配合肥料「匠」

JA町田市オリジナル
完熟有機たい肥

接木苗

 「接木」とは、2種類の品種を接ぎ合わせ、両方の長所を兼ねそなえた植物を作ることです。穂木には、ナスがたくさんできる品種、台木には病気に強い品種を接ぎ合わせることによって、土壌病害への抵抗性を付与することができます。また、土壌病害や連作障害に耐性のある台木を用いて接ぎ木することで、連作障害に強い苗ができ、収穫量のアップが期待できます。台木から芽が出ている場合は早めに摘み取りましょう。

ここがポイント!

 接木ナスは根がまっすぐ下に伸びるので、深く掘り、肥料と土の層を作ります。苗は、茎が太くて葉が厚く、まっすぐ伸びているものを選びましょう。

植えるとき

 苗を植えるときは八十八夜(今年は5月1日)を過ぎてからにしましょう。昔から八十八夜を過ぎると霜が降りないと言われています。接木苗の定植は、根鉢が畝面より2、3cm高くなるよう浅植えし、仮支柱を立て、ひもで結束して株元を固定し、雨風による倒伏などの被害を防ぎましょう。また、接木部分に土がかからないようにするのがポイントです。

ここがポイント!

病害虫対策

 最も被害の多い病害虫はハダニ類、アブラムシ類、コナジラミ類、ハモグリバエ、うどんこ病、灰色かび病です。育苗中や定植時には、下記の農薬をお薦めします。使い方をしっかり守り、使用してください。

オススメの肥料

(殺虫剤)
ダントツ粒剤

 アブラムシ類、コナジラミ類、ハモグリバエなどに効果があります。
 ※キュウリ、トマト、ピーマン にも使用できます。

(殺菌剤)
アフェットフロアブル

 うどんこ病、灰色かび病などの予防になります。
 ※キュウリ、トマト、ピーマン にも使用できます。

生理障害

石ナス

 果皮が固く光沢のない果実。開花期前後の低温や、極端な高温による受精不良が原因。温度管理に注意! 日照不足下では適度の摘葉も効果があります。

つやなし果(ボケナス)

 果皮につやがなく、硬い果実。梅雨明け後の高温、乾燥期に果実の水分不足で発生します。十分な潅水で防止できます。

更新剪定(切り戻し)

 高温を好むナスでも、真夏は疲れなどでどうしても樹勢が弱り、品質の良いナスの収穫ができなくなることがあります。8月のお盆前までに枝を切り戻し、新しい枝を出させると、秋にもう一度おいしいナスが収穫できます。

 「ナス」と一口に言っても色々な種類があります。一度、栽培してみてはいかがでしょうか。詳しくは各支店経済課、または経済センター営農支援課までお問い合わせください。