農薬の適正使用について~間違いやすい農薬適用作物に注意!!~
消費者へ安全・安心な農産物を提供するために、今回の営農情報では「農薬の適正使用」について触れてみたいと思います。
近年、農産物から「残留農薬が検出された」などの報道を耳にすることがあります。なぜ、そのようなことが起こるのでしょう。
日本では、農薬使用者が必ず守らなければならない使用基準が農薬取締法で定められています。また、食品については、残留農薬の基準が食品衛生法で定められています。
万が一、出荷した農産物から残留農薬が検出された場合、生産者は「農薬取締法違反」と「食品衛生法違反」の2つの処罰を受けることがありますので細心の注意を払いましょう。
必ずラベルで確認!
農薬の安全性は、登録された農薬について定められた使用方法を守ることで確保されます。ラベルに表示された使用方法を守って使用すれば、農薬が基準を超えて残留することはありません。農薬を使用するときは必ずラベルをよく確認しましょう。
“いつも使ってるから”の油断は禁物!
農薬の使用はラベルの記載に従って
- 使用する作物名の確認
作物名・病害虫名など - 使い方の確認
希釈倍率・使用量・使用時期・使用回数・使用方法など - 必要な薬量(散布量)を確認
★使用時期の「前日」は、24時間前のことです。
(例)夕方4時に散布、翌日の9時に収穫は、24時間経過していないので違反となります。
間違いやすい作物
消費者の多様なニーズに対応し、同じ科に属する作物においても作物の形状や栽培形態の異なる農作物の栽培が増加しており、例えば「トマト」と「ミニトマト」や「ブロッコリー」と「茎ブロッコリー」のように作物名や形状が似た別作物が栽培されています。このような農作物においては、名前が似ていても作物の大きさや収穫部位や形態、収穫時期が異なる場合は、農薬の残留量が異なるため農薬登録では別の作物として扱い、農薬の使用方法も異なる場合がありますので注意が必要です。
間違えないためには…
- 種の袋、苗の作物名をよく確認しましょう。
袋などは捨てずに保管しておきましょう。購入苗は購入時に作物名を確認 - 出荷部位や時期、形態が違う場合は、作物区分をよく確認しましょう。
- 農薬のラベルの作物名を見て、使用する作物名が記載されているか確認しましょう。
- わからない場合は、JAに相談しましょう。
農薬登録が分かれる作物
間違えやすい作物の例を紹介しますので、これらの作物を栽培する場合は、農薬ラベルの作物名をよく確認してください。
- 種・苗から作物名が異なる
トマト と ミニトマト
ブロッコリー と 茎ブロッコリー
キャベツ と 芽キャベツ・非結球芽キャベツ - 種・苗は同じだが作物名が異なる
タマネギ と 葉タマネギ
ニンニク と 葉ニンニク
ふき と ふきのとう - 作物区分の区分類が異なる
未成熟とうもろこし(スイートコーン) と ヤングコーン(ベビーコーン)
里芋 と ズイキ
枝豆 と 大豆
サヤインゲン と えんどう豆
一人のちょっとした間違えが大きな問題となります。直売所ではその品目の出荷者全員が出荷停止や回収命令が出され、それ以外の品目でも市内全体で「風評被害」という大きな影響を与えることになります。
直売所へ出荷される方はもちろんのこと、庭先販売をされる方も「生産履歴記帳」を行い、正確な記録を残しておき、生産者の義務を果たしましょう。
直お問い合わせは、各支店経済課または経済センターふれあい課まで。
きずな.2014年 春号_No.33掲載