農と食のこと

持ち味は研究熱心な姿勢
つながりを重視した対面販売で
地域を笑顔に

原 義浩さん(52)
相原町

 JA町田市野菜部会の部会長を歴任し、現在は地域の町会長としても活躍中。ほかにも地元の和菓子屋とコラボし6次化に挑戦するなど、町田市相原町で農業を営む原義浩さん(52)は地域の農業をけん引する存在です。そんな原さんのモットーは「地域のみんなを笑顔に」。誰よりも真剣に農業に取り組むきっかけは父親の存在でした。
(取材担当:三田村 翔太)

会社員生活20年の節目に
一念発起

自慢の野菜を手にJA職員とアグリハウスの前でほほ笑む原さん(右から2番目)

 原さんは就農して9年目になります。就農のきっかけは、父親を亡くした友人から「家を守るためには、自分と父親の人生が重なる時間を作るべきだ」とアドバイスを受けたことでした。

 原さんは幼いころ、毎日ダイコンを1000本近く出荷していた両親のもとで収穫や洗い、箱詰めを手伝い、市場にもよくついて行ったといいます。

 その後大学へ進学し、卒業後は研究機関で使われる装置を取り扱う会社に就職しましたが、会社員生活20年目の区切りを迎えたのを機に、一念発起して農業の世界に飛び込みました。

コツコツ勉強し
多品目栽培を実現

原さんの新鮮な野菜を前に来場者の間で会話が広がります

 幼少期に農業を手伝っていたとはいえ、いざ始めてみると右も左も分かりませんでした。農業技術や経営管理を学ぶために「フレッシュ&Uターン農業後継者セミナー」に2年間参加し、徐々に力を付けていきました。

 現在では60アールの農地で、夏はトウモロコシやトマト、ナス、冬にはダイコン、キャベツ、カブなど30種類を超える野菜を栽培し、収穫した野菜をアグリハウスさかいへ出荷しています。原さんは6年間アグリハウスへの出荷を欠かさないほか、日曜に支店の駐車場で行われる「日曜朝市」で来場者と会話をしながら、つながりを重視した対面販売を行っています。

地元の和菓子屋とコラボ

地元の和菓子屋との商品開発で生まれた数々のコラボ商品

 今から4年前、原さんがJR横浜線相原駅近くの老舗和菓子屋「明月堂」の店主飯島保彦さん(54)に「秋どり枝豆」を使った6次化商品を作れないかと相談したことをきっかけに、野菜を使ったお菓子の商品開発が始まりました。これを皮切りに紫芋やトウモロコシなどを使った商品開発を次々に進め、芋ようかん、プリン、マフィンなどが誕生しました。これらの商品はJAのイベントや「日曜朝市」でも販売され、評判となっています。

産地をけん引
地域を笑顔に

 所属するJA町田市青壮年部会では「秋どり枝豆」の品種比較と栽培技術研究に取り組み、2015年に行われた「東京都農林水産業技術交換大会」で研究成果を発表し、最優秀賞に輝きました。原さんは個人でも、町田市農業祭農産物品評会で4年連続入賞を果たすなど数々の成果を上げています。

 また7月に行われた東京2020オリンピック競技大会自転車ロードレースのテストイベントで、500本のトウモロコシを提供して堺地区を盛り上げるなど地域を活気付けることにも目を向けます。原さんは「お客さま、JA、生産者のみんなが笑顔になり、地域全体が盛り上がるように努力していきたい」と熱く語ります。