部会の先輩からもらったアドバイスが原点
地域との触れ合いを大切にしながら
多様な品目を通年出荷し地域農業をけん引
荻野 一雄さん(70)
三輪町
JA町田市の野菜部会鶴川支部の支部長を務め、アグリハウス鶴川や三輪の直売所に野菜を出荷し、地域農業を支える荻野一雄さん(70)。お客さまの声を生産に生かすなど精力的に栽培に取り組んでいます。そんな荻野さんのモットーは、「都市化の進む鶴川地区の農地を守り、近隣住人との触れ合いを大切にしていくこと」です。
(取材担当:五十嵐遼)
父から農業の
ノウハウを受け継ぐ
荻野さんは就農して17年目。きっかけは父親が体調を崩したことでした。勤めていた会社を早期退職し農業の道を歩み始め、父親に教わりながら農業のノウハウを身に付けました。2年目には野菜部会の部会員となり野菜の出荷を始めました。
就農当初は営農の知識が乏しく、種まきや田植えの時期がずれることにより、思い通りの野菜が作れないこともありました。そのような荻野さんに、救いの手を差し伸べたのは、野菜部会の先輩方でした。アドバイスをもらいながら力を付けた荻野さんは、当時を振り返りながら、「今では先輩方への感謝の思いでいっぱいです」と語ります。
幼少期の体験が糧に
通年栽培する農家へ
幼い頃から父親と一緒に農作業をしていた荻野さん。長男ということもあり、将来的には父親の生業を継ぐことになると考えていました。当時、父親と共に過ごす中で得た経験が現在、荻野さんの糧になっています。
現在は野菜部会鶴川支部の支部長を務め、夏はキュウリ、ナス、トマト、冬はダイコン、ハクサイ、ブロッコリーなど一年を通してさまざまな野菜を栽培し、アグリハウスへ出荷しています。中でも自信作は、父親から引き継いできた露地トマトと、荻野さんが栽培を始めたブロッコリーです。
夫婦二人三脚で
息の合った作業
荻野さんは結婚して43年。妻のすみ子さん(69)と力を合わせて野菜の選別作業などを行います。特に袋詰めの時には、お客さまにおいしく食べてもらえるよう「虫が付いていないか」「形が整っているか」と夫婦息を合わせ一つ一つ確認しながら慎重に作業を進めます。荻野さんは「育った環境が全く違うけれども、熱心に作業を手伝ってくれる。とても助かっていてありがたい」と少し照れながら話します。
お客さまのニーズをくみ取り
春ダイコンの栽培へ着手
荻野さんのモットーは「お客さまとの触れ合いを大切にすること」。生産者同士の会話で学ぶこともたくさんありますが、消費者であるお客さまの生の声から新たな発想が生まれることがあるからです。それを形にしたのが、「春ダイコン」です。本来ダイコンの収穫時期は冬ですが、春にもダイコンを出荷してほしいというお客さまの声を聞き、4年前から栽培に力を入れています。今ではアグリハウスに足を運んで春ダイコンを購入していく方が数多くいます。荻野さんは「新鮮な野菜を提供することを心掛け、お客さまとの触れ合いを大切にし、いろんな意見や要望を参考にして、これからも農業に励んでいきたい」と今後の抱負を力強く語ります。