農と食のこと

多才な経験を生かし、食育活動などで
食と農を通じた地域のつながりを創出

原 昌徳さん(79)
相原町

 町田市相原町で農業を営む原昌徳さん(79)は自宅近くの畑で野菜を中心に生産し、アグリハウスへ周年出荷できるよう栽培面で工夫を重ねています。自宅前にある無人直売所では陳列のタイミングを工夫し、加工品を販売するなど販売面にも力を注ぎます。昨年は地域住民向けにブルーベリーの収穫体験を新たに実施するなど常に向上心を持ち続ける原さんは、食と農を通じて地域とのつながりを生み出し続けています。
(取材担当:武内啓一郎)

陳列時間を工夫
無人直売所が近所で話題に

自慢の野菜はアグリハウスさかいへ出荷しています

 原さんは、旧神奈川県立相原農蚕学校(現神奈川県立相原高等学校)を卒業後すぐに就農しました。高校で学んだ養蚕から野菜生産に至るまで就農当初から手広く生産し、60年間毎日欠かさず農業と向き合う人生を送ってきました。現在は地域に根差した形で農業を続ける原さんは、自宅近くにある2カ所の畑で、夏はトマトやトウモロコシ、ブルーベリーなどを、冬にはのらぼう菜やハクサイ、ダイコン、ブロッコリーなど年間20種類以上の野菜を生産しています。収穫した野菜はアグリハウスさかいへ出荷する他、自宅前の無人直売所でも販売しています。JR横浜線相原駅から近い立地を生かし、通勤帰りの時間に合わせて新鮮な野菜を陳列するなど工夫しています。お客さまからは夕食時に合わせて野菜が買えると好評です。

周年出荷を意識
加工で付加価値高める

多種類の新鮮な野菜や果物が並びます

 生産面において原さんが特に意識しているのは、季節の旬の野菜を毎日出荷できるようにすることです。約60アールある畑の広さを生かして、夏野菜と冬野菜を区画を分けて栽培し、同じ野菜でも種まきの時期をずらして収穫を分散させています。加工品の生産にも力を入れており、奥さまと力を合わせてブルーベリージャムや柚子胡椒(ゆずこしょう)を手作りしています。農産物加工品は無人直売所で販売しています。

常に向上心を持ち
地域で新たな試みを展開

無人直売所の外観

 地元の伝統芸能「陽田囃子(ばやし)」の稽古に励んだり、消防団の団員を務めたりするなど多才な経験を持つ原さんは、食と農を通じた地域とのつながりを大切にしています。毎年、JA町田市定期貯金「町田市産冬野菜プレゼント定期」の野菜を提供してもらうことに加え、昨年は初めて、地産地消を進める当JAの「地産地消サポーター」の活動にも協力していただきました。原さんの畑でブルーベリーの収穫体験を開催し、平日にも関わらずお子さま連れをはじめとした多くの方が参加し、大好評でした。

 他にも地元の幼稚園児にサツマイモの収穫体験の場を提供するなど地域の食育活動にも目を向ける原さん。今後については「現状に満足せず、野菜部会で新しい品種の苗が出たら栽培に挑戦するなど情報のアンテナを張り、これからもここで農業を頑張っていきたい」と意気込みを語ります。