町市農業の未来を見据え
挑戦し続ける若手農業者
中島 健雄さん(34)
南大谷
2020年に開催された第61回東京都農業委員会・農業者大会で「東京都農業会議会長賞」を受賞した中島健雄(たかお)さん。次世代の町田の農業を牽引する農業後継者の一人として期待されています。現在は、父の公明(まさあき)さん、母・寿子(としこ)さんとともに「ビーツ」「ロマネスコ」「カリフローレ」など、珍しい野菜を含め、年間約40品目を栽培しています。
(取材担当 町田支店:中島 学・石川 俊資)
農業者として取り組む
新たな挑戦とやりがい
家族とともに南大谷で農業を営む、中島健雄さんは、大学を卒業後、すぐに東京都農林総合研究センターで行われている農業技術研修に参加。2012年4月に就農した、今年で9年目となる若手農業者です。
健雄さんの農業へのこだわりは、安全で安心な野菜を食卓に届けることにあります。「安心して野菜を食べてもらうためにも、農薬を極力使わないように心掛けています」と胸を張ります。
収穫した野菜は、主に「アグリハウスまちだ」「ぽっぽ町田」へ出荷。時期によっては、学校給食の食材としても納めています。
また健雄さんは、庭先販売も行っています。採れたての新鮮な野菜を手にとってもらえるだけでなく、消費者と直接コミュニケーションがとれる貴重な場所だといいます。
この販売所には、毎日のように近所の方が新鮮な野菜を求めて訪れます。最近では、口コミによって健雄さんの作る野菜のファンが増えてきました。特に自信のある野菜は、トマトとブロッコリーです。「直販所などで見かけた際は、ぜひ味わってほしい」と話します。
天候によっては思い通りに野菜が育たないこともあるものの、お客さまから直接「おいしかったよ」と声をかけてもらえるのは何よりも励みになり、うれしいと少し照れながら話してくれました。
次世代町田農業の
担い手の一人として
健雄さんは、町田市の担い手農業者が集う「青壮年部会」に所属し、町田の農業をPRするための活動を精力的に行っています。健雄さんはこの青壮年部会で、需要が見込まれる新しい農作物の試作研究や、町田市農業祭などの祭事で展示される「野菜宝舟」の制作を行っています。
「青壮年部会に入会したことで、他地区の部会員との交流ができるようになりました。仲間作りや知識の向上につながっています。今はコロナ禍のため活動が制限されていますが、終息後は、今まで以上に町田の農業をPRしたい」と、町田の農業の未来を見据え力強く話します。
町田の農業の
未来に向けた取り組み
健雄さんはトマトやブロッコリーなどの一般的な野菜のほかに、ビーツ、ロマネスコ、カリフローレなど珍しい野菜の栽培にも取り組んでいます。これらの野菜は見た目が美しいだけでなく、ビタミンCなどの栄養価が高いため、女性を中心に人気が高まっています。そうした、付加価値の高い野菜の栽培に取り組む一方、新しい柑橘類の試験栽培にも力を入れています。
「試験栽培に成功したら生産量を増やし、将来的に南大谷産の柑橘系フルーツとして販売したい」と目を輝かせます。
健雄さんは他にも、趣味で栽培している多肉植物をアグリハウスで販売し、アグリハウスでの品揃えをバラエティーに富んだ幅広いものにしたい、という展望を描いています。
町田の農業を盛り上げるため、新たな試みを模索し続けています。その熱意は、未来を担う子どもたちにも向けられています。健雄さんは、毎年近所の保育園の園児たちを畑に招き、サツマイモ掘り体験会を開催しています。
「食育の一環として始めました。サツマイモ掘りの体験を通して、自然とのふれあい、食や農業に興味を持ってもらえたらうれしい」と、目を細めて話してくれました。