農と食のこと

食と農を通じて
町田の農業の未来を耕す

安藤 ゆたかさん(70)
安藤 ひろしさん(38)
真光寺町

 2013年から2期にわたってJA町田市の理事を務め、その後も真光寺東部支部の支部長などを歴任し、町田市の農業発展に尽力してきた安藤 ゆたかさん(70)。その熱意が伝わるのか、安藤さんの作る野菜は、直売所の利用客にとても人気があります。特に人気の高い品種は、予約販売を行うほどだといいます。地域の人々に頼りにされている安藤さんに、野菜作りにかける思いを伺いました。
(取材担当 鶴川支店:羽山勝也)

食と農のつながりを
深く考えるきっかけに


田んぼの管理をする安藤さんと洋さん

 安藤 裕さんは、1996年に勤めていた筐体板金(きょうたいばんきん)メーカーを退職して、実家の農業を継ぎました。小学5年生の頃から野菜の収穫や米の脱穀などを手伝っていたため、農家になることに対して前向きだったそうです。

 安藤さんの畑で栽培している野菜は40種類以上。年によっては50種類以上の野菜を作ることもあります。野菜のほかにも、ミカンや柿、ユズといった果物や、緑米などの米も作っています。畑の面積は約42アール、田んぼの面積は約33アールと、広い耕作面積をひろしさんと協力して管理しています。

 安藤さんは2013年から2期にわたってJA町田市の理事を務め、その後も真光寺東部支部の支部長などを歴任しながら、町田市の農業発展に尽力してきました。就任前から地産地消などに取り組んでいましたが、地域農業の振興に深く関わったことで、「より地域住民たちと農業のつながりについて考えるようになった」と振り返ります。

地域の人々に愛される
野菜作り

安藤さんが苗から育てたキュウリ

 安藤さんは、2002年に自宅前に野菜直売所を開設しました。5年前には、都道からも分かりやすい場所に2つ目の直売所を開設しました。直売所を通じた交流や、野菜を食べてくれた人からの「おいしかった!」という感想は、何よりもうれしいと安藤さんは笑顔で話します。地産地消を推進するために始めた取り組みではありましたが、今ではこの直売所は安藤さんが農業にまい進するための活力となっています。

 就農から26年――。安藤さんは就農時から変わらず、農業の勉強に取り組み、よりおいしい野菜を作るための試行錯誤を重ねています。野菜の苗にもこだわりを持ち、そのほとんどは安藤さんのハウスで育苗した自家製の苗です。天候にあわせて寒冷紗を被せるなどの手間暇を惜しまず、多くの失敗を乗り越えながら減農薬や無農薬に努め、真摯に野菜作りに向き合ってきました。このように心血を注いで育てた野菜をさらに選定し、品質の良い野菜だけを直売所に並べています。

 「並んでいる野菜は全て自信作。どれを手に取っても新鮮でおいしいので、利用客が野菜選びで悩む心配がない」と胸を張ります。特にトウモロコシなどの人気野菜は、事前に予約しないと買えないこともあります。最近では、この直売所を目当てに安藤さんが管理するアパートに入居する人もいるほどです。

 町田産の野菜を地域の皆さんにおいしく食べてほしい、という思いから始まった安藤さんの取り組みは、近隣に住む人々にとっても欠かせない大切なものとなっています。

学校給食を通じて
未来へつなぐ取り組みへ

 安藤さんは2003年から地域の学校に給食用の野菜を提供しています。この取り組みも地産地消の一環として始めました。現在では仲間が加わり、4人の真光寺の農家とともに、市内にある3つの小学校に毎日野菜を届けています。

 また、安藤さんたちのグループは小学校の食農教育の手助けや、特別支援学級の子どもたちを畑に招いて、サツマイモの収穫体験なども行っています。コロナ禍になる前までは、毎年120人ほどの小学生が畑の見学に来ていました。中には、初めて畑に実っている野菜を見た子どももいました。「この機会に、野菜や農業に興味を持ってもらえたら」と、子どもたちの未来に期待します。

 安藤さんは「町田の農業が衰退せず、発展していくように、これからも努力したい」と語りました。