農と食のこと

ご近所への販売や体験学習で
地域活動に取り組む

五十嵐 義則さん(72)
大輔さん(40)

 お父様から引き継いだ農地で、息子さんとともに野菜を生産する五十嵐さん。就農してまだ10年、苦労しながらも路地栽培を中心にさまざまな野菜を生産しています。
 近所のお宅へ直接野菜を届けたり、子どもたちに向けた農業体験学習を実施したりするなど、地域とのつながりを大事に農業の素晴らしさを伝えるお2人を紹介します。
(取材担当 町田支店:嵯峨佑奈)

自ら一から学び
親子二人三脚で農業に挑む

 町田市立町田第六小学校にほど近い南大谷地区で農業を営んでいる五十嵐義則さんと息子の大輔さん。
 義則さんが本格的に就農したのは約10年前で、家業をお父様から引き継ぎました。現在は、息子・大輔さんとの二人三脚で農業を営んでいます。
 「父から生前に、もう少し農業の基本的なことを学んでおきたかった」と、就農当時を振り返る義則さん。
 それまでは土日の仕事の休みの合間を縫ってお父様の手伝いをする程度だったため、農業に対しては全くの素人。基本的なことが一切わからず苦労したと話します。
 そのため、農業関連の書籍の精読、JA職員による営農指導などを通して、いろいろと自分で勉強を重ねたそうです。
 そのかいあって、たくさんの野菜を生産することができるようになり、今では大輔さんと2人で2400m2の畑をきりもりしています。広大な畑では、季節ごとに露地栽培を中心として20種類ほどの野菜を育てています。
 取材にうかがったときには、ちょうどトマトやキュウリ、ズッキーニ、ゴーヤなどの夏野菜が実をつけはじめ、五十嵐さん親子は収穫を楽しみにしていました。

自宅へ直接届けることで
購入者との対話を大切に

ナスの剪定作業をする義則さん

 義則さんのお父様は、生前、近所の方々に朝獲りした野菜を販売しに行っていました。それを今では義則さんが引き継ぎ、毎週3・4日で約40~50軒のお宅へ野菜を届けているそうです。

 「私たちは野菜を販売するだけではなく、購入者とのコミュニケーションを大事にしている。ときには良いアドバイスを受けることがあり、この活動はこれからも継続していきたい」と義則さんは語りました。

体験学習を通して
子どもたちに
農業の大切さを伝えたい

トマトの剪定作業をする大輔さん

 就農当初から町田市内の小学校2校に給食用の野菜を届けており、その他にもサツマイモやダイコンの栽培体験学習を行っている義則さんと大輔さん。
 五十嵐さん親子の畑で、子どもたち自らがサツマイモ苗を定植し、つる返しなどの手入れ、そして収穫を行っています。
 ダイコンは種子を植え、収穫したら、子どもたちが作成した手作りレシピをつけて保護者の方に販売等を行っているそうです。
 また、農業見学も精力的に実施しています。野菜の栽培方法や農機具の使い方などについて説明する他、子どもたちからのたくさんの質問に答えることで農業を知ってもらう活動を行っています。
 このような体験を通して、収穫の楽しさや喜びを感じ、将来農業に挑戦してみたいと話す子どももいたそうです。
 義則さんは子どもたちの体験後の感想を通して「これからも地産地消を継続し、子どもたちに農業の大切さやなぜ必要なのかをさまざまな体験学習を通して伝えていきたい」と話しました。

取材を終えて

 晃生さんはいつも笑顔で挨拶し、丁寧に野菜を陳列するため、アグリハウスを訪れる皆さまからの信頼も厚い若手農業者です。今後、南地区だけでなく、町田市内の農業を支えていただきたいと思います。また、今回ご紹介させていただいた晃生さんのように若い世代の方が増え、農業を担っていただけたら今後の農業の活性化や担い手不足問題も解消されると思います。

 これからも若い農家さんの奮闘する姿を紹介するとともに、就農者の支援ができるよう尽力してまいります。