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第21回:ホウレンソウ 酸性土を矯正し、排水を良くする

園芸研究家●成松次郎

 ビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜で、特に日本人に不足しがちなビタミンB群や、造血作用に関係する葉酸、そして鉄分とカリウムが多いのが特徴です。生育の適温は、15~20度で冷涼な気候を好み、耐寒性は強いが暑さには弱く、25度以上になると生育が衰えます。関東以西の地域では、夏取り以外は栽培できますが、冬取りの栄養価が高く、甘味も増し最もおいしい季節です。

[品種]

 秋取りは生育の良い「アトラス」(サカタのタネ)、「オーライ」(タキイ種苗)、「ハンター」(カネコ種苗)など、冬取りは寒さに強い「ソロモン」(サカタのタネ)、「トライ」(タキイ種苗)などが良いでしょう。

[畑の準備]

 ホウレンソウは酸性土を嫌うため、事前に1平方m当たり苦土石灰150gを畑全体に散布して、よく耕しておきます。次に、幅1mの広幅の栽培床を作り、1平方m当たり化成肥料(N-P-K=10-10-10)150gと堆肥2kgを土とよく混和しておきます。

[種まき]

 適期は9~10月。栽培床は平らにならし、条間20cm、深さ1~2cm程度のまき溝を切り、まき溝を板切れを立てて平らな溝に仕上げ、1cm間隔に種をまきます(図1)。1cmほど覆土し、たっぷり灌(かん)水します。そして、風雨や害虫から幼苗を守るため不織布をべた掛けします(図2)。

[管理]

 1回目は発芽そろい時に込み合っている所の株を抜き取り、その後、2~3回に分けて最終的に株間を4~5cmにします(図3)。栽培期間が長い10~11月まきでは、草丈10~15cmのころ、1平方m当たり30gを追肥し、株元に軽く土寄せします(図4)。

[病害虫の防除]

 ヨトウムシは見つけ次第、捕殺し、アブラムシには、気門閉鎖剤(商品名:粘着くん液剤)などで防除できますが、不織布をべた掛けして飛来を予防すると良いでしょう。

[収穫]

 草丈が25cmくらいを収穫の目安にしますが、30cm程度になってもホウレンソウ本来のおいしさは変わりません。株元の根を鎌やはさみで切り取ります。直売所などに出荷する場合は、枯れ葉を除いて300gくらいに束ねます。

第21回:ホウレンソウ 酸性土を矯正し、排水を良くする

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、
(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産
・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。