農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第3回:エンサイ(ヒルガオ科サツマイモ属)

土壌医 藤巻久志

 エンサイは中国野菜として、1972年の日中国交正常化に伴いパンダと一緒に本土にやって来ました。チンゲンサイやタアサイのように野菜売り場に並ぶことは少ないですが、中華料理店では青菜炒めの食材に使用するところが多いです。

 エンサイは沖縄では古くから真夏の野菜「ウンチェー」として利用されてきました。沖縄から本土へのエンサイやサツマイモの移動は、ゾウムシなどのまん延を防ぐ植物防疫法によって規制されています。

 ゴーヤーやメロンなどのウリ科野菜も移動を規制されていましたが、1993年にウリミバエを根絶したので規制は解かれました。人工的に不妊化した害虫を大量に放し、害虫の繁殖を妨げる不妊虫放飼という方法です。ゾウムシなどもこの方法で根絶しようとしています。

 エンサイは別名がクウシンサイ(空芯菜)やアサガオナ(朝顔菜)というように茎が空洞で、秋にはアサガオに似た白い花を付けます。

 日当たりの良いベランダなら、プランターでも簡単に栽培できます。

 発芽適温20〜30度、生育適温25〜30度の高温性植物なので、4月下旬以降に種まきします。生育旺盛で水分を多く必要とするので、プランターは深さ20cm以上の物を用意します。プランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔に3〜4粒ずつ点まきして、1cm程度の覆土をします。種はアサガオのように硬実なので、一昼夜水に漬けてからまくと発芽が早まります。

 本葉2枚の頃、1カ所1株に間引き、1週間置きに1000倍の液肥を施します。多湿を好むので、水やりは毎日たっぷりし、培養土がいつも湿っているようにします。

 主茎が20cmほどになったら、摘芯して側枝を伸ばします。伸びてくる側枝を15〜20cmで順次収穫していきます。

 エンサイはカルシウム、カリウム、鉄分に富む夏野菜です。炒め物、おひたし、あえ物などにして、独特の食感をお楽しみください。

第3回:エンサイ(ヒルガオ科サツマイモ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし):種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。