農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第18回:リーフレタス(キク科アキノノゲシ属)

土壌医 藤巻久志

 レタスが日本で本格的に栽培されるようになったのは、戦後の1946年に進駐軍が東京都調布に礫耕(れきこう:水耕栽培の一種)施設を作ってからです。当時の日本人は葉物を生で食べる習慣はありませんでした。下肥で栽培した葉物は非常に不衛生なので、化学肥料が普及するようになりました。化学肥料はお金で買うことから金肥ともいい、それで栽培された野菜は清浄野菜と呼ばれました。

 レタスが一般家庭に普及した契機は、1964年の東京オリンピックです。映画『エデンの東』で見たレタスが、日本でも千葉県館山などに産地ができ、食卓に上るようになりました。1970年代になるとレタスを挟んだハンバーガーを食べるようになりました。

 レタスは玉レタス、リーフレタス、コスレタス、茎レタスの四つに大きく分類されます。キッチンガーデンにはじかまきができ、病虫害にも強く生育が早いリーフレタスがお薦め。

 日当たりの良いベランダに深さ15cm以上のプランターを置き、市販の培養土を入れます。条間15cmの筋まきをします。好光性種子なので覆土はごく薄くし軽く鎮圧します。種が流れないように、発芽するまでは霧吹きなどで優しく水やりします。

 発芽したら細い物や徒長した物などを間引き、株間を15cmにします。水やりは朝にし、夕に土の表面が乾く程度に。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。

 本葉10枚以上になったら、株ごと抜いて収穫するか、下葉からはさみで切り取りながら利用します。

 リーフレタスは玉レタスより栄養価が高く、カロテンを多く含んでいます。生のままサラダにして食べるのが一般的ですが、炒め物、スープやみそ汁の具、チャーハンなどにしてもおいしいです。

 リーフレタスはグリーンとレッドの品種があります。どちらも照りがあり美しく、波打つ葉形が面白いので、観賞用としても楽しめます。

第18回:リーフレタス(キク科アキノノゲシ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。