農と食のこと

ベランダでできるキッチンガーデン

第20回:ケール(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志

 今では毎日のように目にする青汁のテレビコマーシャルは1990年ころから始まりました。それまで青汁は首都圏では東京・銀座や横浜・桜木町などの数少ないお店でしか飲むことができませんでした。

 健康食品として飲用される青汁の原料はケールです。ケールは欧州で紀元前から栽培されていました。ケールから花蕾(からい)を食べるブロッコリーやカリフラワー、茎を食べるコールラビ、脇芽を食べる芽キャベツなどが分化しました。耐暑性や耐寒性があり、とても強健な葉物野菜です。カロテンやビタミンCを多く含みます。長期間収穫できるので家庭菜園に適しています。日当たりの良いベランダなら簡単に栽培できます。春から秋まで随時種まきできます。

 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れます。株間20〜25cmで、1カ所に4〜5粒の点まきをします。発芽して双葉が開いたら、子葉の形が悪い物などを順次間引きして1本立てにします。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。朝方に水やりし、夕方に土の表面が乾く程度にします。

 和名が「緑葉甘藍(かんらん)」や「羽衣甘藍」というように、キャベツの仲間ですから、アオムシやヨトウムシなどの害虫が付くことがあります。生葉を利用するので、農薬は使用したくありません。毎日、葉の裏まで観察し、見つけ次第割り箸などでつまみ捕殺します。秋まき栽培は害虫の発生は少ないです。

 葉が10枚以上になったら、下の葉から順に摘み取り利用します。新鮮な葉をジューサーにかけて青汁にします。蜂蜜を入れて飲めば「まずいっ!」ということはありません。サラダや炒め物の具にすることもできます。

 葉が大きく形も面白いので、観葉植物としても楽しめます。緑を見ていると心が落ち着きます。ケールを育てて、心と体の健康を増進させてください。

第20回:ケール(アブラナ科アブラナ属)

※藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

※掲載内容は「JA広報通信」より引用したものです。